Creative Romance ロマンの結晶

 
1940年の日本万国博覧会に出品するために、初代社長をはじめとする河合楽器の一流技術者が、世界一のピアノを目指し、総力をあげて入念につくり上げたのが『M』の原型モデルとなったピアノです。
 
第二次世界大戦により日本万博は中止となり、結局発表されることのなかったこの“幻のピアノ”に、河合楽器のスタッフが再び巡り合ったのは、それから半世紀も後のこと。
 
当時の制作に関する資料は、すべて戦火で失われてしまいましたが、ピアノは奇跡的に戦火を逃れ、今も、ある音楽家のもとに現在していたのです。
 
"幻のピアノ"に再会して、その美しさと、ひしひしと伝わる当時の製作者たちの意気込みに感動したスタッフは、自分たちの手で再現してみたいという気持ちにからわれました。しかし、再現は容易ではありませんでした。
 
資料がないという事より、合理化が進んだこの時代に、果たしてこのようなピアノを創ることができるのだろうか、と感じたからです。
 
“幻のピアノ”にはそれほど微妙な感覚が随所に息づいていたのです。しかし、精根をこめて取り組んでいくうちに、スタッフはピアノ創りのロマンに魅せられていきました。
 
やがて自分たちのピアノ創りのこだわりのために創るのだという意識が生まれ、オリジナルに負けないピアノを創造することができたのです。
 
音色をつかさどるメカニックの部分には、カワイの最新技術を駆使して、よりマイルドなトーンを実現。
 
オリジナルの製作者たちへの尊敬と、ロマンと情熱を秘めた新しい美への自信を込めて、私たちはこのピアノをM（Majestic-荘厳な）と名付けました。